妊娠中の運動で心も体も健康に：トレーナーの視点からアドバイス

実際、私が担当させていただいたお客様の中にも、妊娠中にトレーニングを希望される方がいらっしゃいました。妊娠5ヶ月を過ぎるとお腹が目立ち始め、日常生活にも少しずつ負担がかかってくる時期です。この頃になると妊婦特有の体調や不安を抱える方が増えますが、それでも健康維持や運動への意欲を持たれる方も少なくありません。こうしたお客様と向き合いながらトレーニング計画を一緒に立てる中で、妊娠中の運動に対する考え方やアプローチについて改めて学ぶ機会となりました。

あるお客様は、妊娠前から定期的にトレーニングを行っていた方で、妊娠後も運動を続けたいという思いを持っていらっしゃいました。ただ、妊娠初期は予想以上につわりや疲労感が強く、ほとんど運動ができない状態が続きました。妊娠中期に入り体調が安定してくると、「また少しずつ体を動かしてみようかな」という気持ちが芽生え、妊娠5ヶ月頃から徐々にトレーニングを再開されました。結果的に、臨月に入る直前まで、体調を見ながら無理のない範囲で運動を続けることができました。

もちろん、その過程では「本当に運動をして大丈夫なの？」「赤ちゃんに影響が出ないか心配」といった不安もありました。そのため、お客様には事前に産婦人科の先生から運動許可を得ていただくようお願いしました。このお客様の場合、「特に問題はないので、無理のない範囲で運動して構わない」との診断をいただき、その言葉が安心感につながったようです。
また、セッション中は体調やその日の状態を細かく確認し、必要に応じてトレーニング内容を調整しながら進めました。

妊娠中の運動では、まず体調を優先し、無理をしないことが大切です。そして、医師のアドバイスに従いながら進めることで、より安全に、安心してトレーニングを行えます。

 

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実際に取り組んだトレーニング内容

お客様と相談しながら決めたトレーニング内容は以下の通りです。
妊娠中の体の変化や体調を考慮しながら、段階的に進めていきました。

3〜4ヶ月頃

妊娠初期はつわりや体調不良が強く出る方も多く、この時期は無理をせず体調を最優先に考えるべきです。
特に妊娠3〜4ヶ月は安定期に入る前の時期であり、出歩くことさえ難しいケースもあります。

ただし、ずっと横になっている、あるいは家にこもりきりの生活が続くと、精神的にも悪影響があるため、可能な範囲で軽い運動を取り入れるようにしました。具体的には、軽い散歩を提案。筋力トレーニングは避け、無理のない範囲でリズムよく歩くことで気分転換や体力維持を図りました。

5〜6ヶ月頃

安定期に入ると、つわりが落ち着き、体調も安定しやすくなります。この時期から軽いトレーニングを再開しました。

妊娠前に行っていたトレーニングメニューをベースにしつつ、バーベルやダンベルなどの器具を使用したフリーウエイトトレーニングは自重トレーニングに置き換え、マシントレーニングでは重量を大幅に軽減して実施しました。ポイントは「限界を感じる前に止める」ことです。お客様の反応を観察しながら、限界と感じる回数の5〜10回手前で動きを止めるように指導し、腹圧がかかりすぎないよう注意しました。腹圧のかかりすぎは、子宮の収縮や腹部の苦しさを引き起こすリスクがあるため、特に注意しています。

また、チューブトレーニングや軽いストレッチも適度に取り入れました。トレーニング時間は短時間から始め、セット間に2分以上の休憩を取りながら進めました。

7〜8ヶ月頃

妊娠後期に入ると、お腹がさらに大きくなり、快適にできる運動が限られてきます。特に妊娠9ヶ月目（33〜34週）頃からは、みぞおちや骨盤周りへの圧迫を強く感じたり、息切れ、股関節や腰の違和感が出る方もいらっしゃいます。そのため、この時期はお客様の状態に合わせ、負担の少ないメニューにシフトしました。

具体的には、錘を使ったウエイトトレーニング（マシンも含めて）は避け、ワイドスクワットや軽いランジなど、お腹への圧迫が少ない種目を中心に構成。これらの動きは骨盤周りの柔軟性向上にも役立ちます。また、水泳などの負担が少なくリラックス効果も高い運動をおすすめしました。

この時期は、急な姿勢変更も控えるよう注意を促しました。座りから立ち上がる、仰向けから起き上がるといった動きは、股関節や腰への違和感や起立性低血圧（立ちくらみ）を引き起こしやすいため、立ったまま、座ったままの姿勢で行える運動を提案しました。

臨月直前まで

臨月が近づくと、お腹が大きくなることでさらに動きが制限されます。この時期はジムでのトレーニングを控え、自宅でできる自重スクワットメニューを中心に行うように指導しました。スクワットは骨盤底筋群を鍛える効果があり、産後の尿漏れ予防や出産に向けた体力作りにも役立ちます。

また、臨月では体を動かしている際に破水する可能性もあるため、運動中は常に注意を払い、万が一破水した場合はすぐにかかりつけ医に連絡するようお伝えしました。トレーニングはあくまで無理のない範囲で、短時間かつ軽めの負荷で行うよう調整し、安全第一で取り組むことを徹底しました。

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妊娠中の運動がもたらす効果

運動を続ける中で、そのお客様は「腰痛が和らいだ」「心身ともにリフレッシュできた」と話されていました。また、出産後の体力回復に向けた準備にもなったと感じているそうです。妊娠中の運動は、無理をしない範囲で行うことが大前提ですが、適切な運動には妊婦さんの体に多くの良い影響をもたらす可能性があります。

特に妊娠後期に行うトレーニングには、次のような効果が期待できます。

1. 出産に必要な下半身の筋力UP

妊娠後期のトレーニングでは、スクワットなど下半身を使う多関節運動が特におすすめです。

中でも腸や子宮を下から支える「骨盤底筋群」は、お産を支える重要な筋肉です。
これを適度に鍛えることで、産後の尿漏れ予防や骨盤の安定性向上といったメリットが期待できます。

スクワットは、お尻から足先にかけて脚全体を使うエクササイズで、妊娠後期でも無理なく取り組めるトレーニングのひとつです。出産に必要な筋力や体力を養う準備運動として非常に効果的で、骨盤底筋群を自然に鍛えることができます。

また、マシンを使ったレッグエクステンションやレッグカールも、負荷を軽くすることで無理なく行うことが可能です。しかし、妊娠中は一部分の筋肉に負荷を集中させる運動よりも、多くの筋肉を同時に動員するトレーニングの方が、体全体の負担を軽減し、安全性が高まるとされています。「スクワットが陣痛を促す」という説があるものの、これは医学的な根拠はありません。臨月に行うスクワットは、あくまでも出産に向けた体力づくりや体調管理の一環として取り組むのが良いでしょう。

トレーニングを行う際には、安全なフォームを維持することが大切です。妊婦さんの体型や状態に合わせた正しいフォームを守り、無理のない範囲で軽めの負荷や少ない回数から始めることを基本とします。さらに、トレーニング中のフォーム確認やプログラムの調整のため、専門家のアドバイスを受けることが安全性を高めるうえで非常に有効です。事前に医師に相談し、自分の体調に合ったトレーニングが可能か確認することも忘れないでください。

妊娠後期のトレーニングは、適切に行えば出産に向けた準備だけでなく、産後の回復にも大きく役立ちます。安全を第一に、自分に合った方法で取り組んでください。

2. 出産に向けて体力をつける

スクワットは筋力だけでなく、心肺機能や持久力の向上にも役立ちます。

これにより体力がアップし、出産時に必要なエネルギーを蓄えることができます。

出産という大仕事を支える準備として、適切な運動が力を発揮するのです。

 

3. 産後太りの予防に！

妊娠中に下半身の筋肉を鍛えておくことは、産後の体型維持や筋力の衰え予防にも効果的です。全身バランス良く鍛えることはもちろん大事なことですが、お産の前後はとにかく下半身の筋肉が重要だと考えております。スクワットを含む適切なトレーニングを続けることで、下半身太りのリスクを軽減し、産後も健康的な体をサポートします。

また、産後は特にお腹周り、骨盤周りに体脂肪がつきやすくなります。

出産はゴールではなく、大事なお子さんの育児のスタートです。

自分自身の体を考える余裕が無くなることも予想されるので、自分自身の食生活が乱れたり、精神的に不安定になり過食につながることも考えられます。そして、自分自身の運動の時間も確保しにくくなる可能性も非常に高いです。

それを踏まえても、出産前に対策をしておくことはその後の「産後太り」の予防にもつながるのです。

実際のお客様の例から

お客様の取り組みを見ていると、腰痛の軽減や心身のリフレッシュ効果だけでなく、出産に必要な筋力や体力の準備としても運動が非常に役立つことを実感しました。また、出産後の体型や体力の回復をスムーズに進めるためにも、妊娠中の運動が良い準備となっていたようです。

これらの効果を得るためには、妊婦さん一人ひとりの体調や体の変化に合わせて運動プランを慎重に調整することが大切です。そして、何より安全第一。医師の確認を受けながら、専門家のサポートのもとで無理のない運動を取り入れていくことをお勧めします。

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パーソナルトレーニングを活用する

この記事を読んでくださっている方の中には、「妊娠中も運動を続けたい！」「適度に体を動かして健康を保ちたい！」と思っている方も多いのではないでしょうか？そんな皆さんには、ぜひパーソナルトレーニングを活用していただきたいと思います。

トレーニングは、一人ひとりの体調や目的に合わせて、適切な負荷や種目を選ぶ必要がありますが、妊娠中は特に注意しなければならないポイントがたくさんあります。

自己流で進めてしまうと「やりすぎて体調を崩した」「間違った方法で体に負担をかけてしまった」なんてことにもなりかねません。後悔しないためにも、正しいやり方の習得や強度を見極めることが大切です。

私がこれまで担当したお客様も、妊娠中の体調の変化やリスクをしっかり考慮しながら、一緒に無理のないトレーニングプログラムを作っていきました。私に限らずパーソナルトレーナーは、その日の体調やコンディションを確認しながら、一人ひとりに合った内容をを提案できます。

妊娠中は、「これで大丈夫かな？」と迷うことが増える時期でもあります。そんなとき、専門家がそばでサポートしてくれると、安心して運動に取り組むことができるのではないでしょうか？「ちょっと不安だな」と感じたら、ぜひパーソナルトレーニングを検討してみてくださいね！

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まとめ

妊娠中の運動は、個々の状況によって適切な内容が異なります。大切なのは、自分の体と相談しながら無理なく進めること。そして、医師やトレーナーなどの専門家の意見をしっかり取り入れることです。もし妊娠中の運動について悩まれている方がいれば、パーソナルトレーニングの活用も視野に入れてみてください。ただしんどいことをするだけではなく、お客さま個人個人に合わせてプログラムを提供するのがパーソナルトレーナーの役割ですので、ぜひ一度相談してみてくださいね。妊娠中も自分の体を大切にすることで、出産やその後の生活もより快適になる可能性が高まりますよ✨

最後までお読みいただき、ありがとうございました。皆さんが健康で素敵な日々を過ごせますように！

 

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